3/2 鹿児島〜宮浦

8時45分発のフェリー屋久島は宮之浦へむけて出航した。きのうのチャリダーの男の子と一緒だ、フェリーは宮崎行きのフェリーとは比べ物にならないほど豪華だった。
さすが観光資源の屋久島。

船の中でチャリだーの子と「貧乏旅行」について色々語り合った。屋久島の観光案内所まで一緒だったが、ここで「登山届」(縄文杉まで行くだけでもとどけが必要)を出した後、バイクとチャリに分かれて一人になる。さてどこにむかおうか、まったく当てがなかったのでとりあえず一周してみようと走り始めた。天気もいいし海もきれいだし、すごく気持ちがいい。 思ったより屋久島は広かった。今日半日で一周はちょっと無理そうだ。ちょこちょこ脇道にそれて遊んでいるし・・・。

「平内海中温泉」の看板がみえたので脇道にそれてみる。
干潮のときにしか現れないときいていた温泉だ。海岸まで下っていくと、本当に海のそばに浴槽らしき物があり、おじいさん二人が入っていた。どうしよーと思いつつ、「こんにちはー」と声をかけて歩いていった。入るんかーときかれて入ろうかなーというと入ってけ、入ってけと言うので思い切って入っていくことにした。せっかくきたのに入らないのはもったいない。ほんとに海が目の前で気持ちがいい。
帰り際にさっきのおじいさん(ここの湯守)が屋久島のみかんだといってたんかんをくれた。

さて今日の泊まり場所だが、あした縄文杉登山で早起きなのを考えて、ライダーハウスに行くことにした。もう一つの候補、栗生のキャンプ場からでは登山口が遠すぎる。 ライダーハウス止まり木では親切な「姉さん」が迎えてくれ、ライダーハウス中に兄さん姉さん夫妻の細かな気配りがいきとどいて共同生活が成り立っている、と言う感じだった。

ここは常駐で「生活」している人のほうが多いくらいで、おたがい作ったご飯をわけあって食べたりして、旅人宿にきたなあという気分になった。常駐組ではないチャリダー3人組がいて、かれらは2泊3日で宮之浦岳を縦走してきたそうだが、上は雪と寒さで死にそうだったと話していた。チャリダーは登山しようって人が多い気がする。やっぱり体力があるからかなあ。

ご飯を余分にたいて明日のぶんのおにぎりを作って縄文杉登山に備えた。明日は4時半起床だ。

3/3  屋久島(縄文杉)

4時半起床。
徹夜でなければこんなに早くおきるのはすごく久しぶりだ。 まだ夜が明けないうちに出発。荒川登山口までの道路はすごく曲がりくねっていて、セローのヘッドライトだけで走るのはかなりコワイ。とろとろ徐行運転で進む。 途中朝早くから開いている弁当屋が何軒かあった。 登山客のためのものなのだろう。

荒川登山口につくとすでにかなりの車が止まっていて、縄文杉へともう出発しているようだった。 そこでちゃりのそばでバーナーの用意をしている子がいたので、 こんな早い時間にチャリダーがもうついているなんて?と思って 「ここにとまったんですか?」と話しかけてるとやっぱりだった。あまりに寒いのでここのトイレの中で寝袋広げて寝たんだという。 たしかにシーズンオフの観光地のトイレは結構きれいだったりするのだが・・・。 登山口までの結構な距離と急な登りを考えるとちゃりで早朝着は無理があるからつらいところだろう。

よければ一緒に登りましょう、といってその子が朝ご飯を食べ終わるのを待つ。 パスタをゆでたのはいいが箸を忘れたらしく、ワタシのボールペンを貸して、箸代わりにしてかきこんでいた。

出発は7時過ぎ。他の人々はもうまばらで相当後発部隊になってしまった。 トロッコ列車の線路を延々と2時間以上も歩く。 平坦な上に甘利変化のない風景なのでとても長く感じる。 それでも時々現れる橋渡の時は下があまりにも深いので少し緊張したが。 いよいよ登山道にはいるとけっこう勾配もきつくて 石がごろごろねっこがびっしりですぐにあせまみれになった。 フリースやかっぱのズボンなどすぐ脱いでリュックにしまったのでよけいなお荷物である。

あちこちに水がさらさら流れ、苔びっしりの木が立ち並び、太いねっこが地面を覆い尽くしている。
この風景はこの屋久島の原生林独特のものだろう。すごく不思議な風景だ。 縄文杉の方は手前から木道が整備されていて、ちょっと感動が薄かったのだが、やはりたどり着くまでの道中はとても印象深い。

一緒にあるいたチャリダーの子は最近バイクの免許をとってSRにのりはじめたという、北海道の話、サイクリング部の話、 道中長かったので、様々な話が出来た。 「ほんとに自転車って忍耐のスポーツですよ」 たしかにそのとおりだろう。朝早くからひたすら食べる間も惜しんで走り続けているのは頭が下がる。 彼の今日の食料はカロリーメイトとチョコレート。 ともかく食べないとおなかがすいてしまうので常に持ち歩いているそうだ。 帰りにはマウンテンバイクの男の子も加わって、登山口までチャリで何時間かかりましたかねーって言う話で盛り上がっていた。

行き4時間弱、帰り3時間ちょいで午後3時過ぎにはたどり着いたので帰りに紀元杉にもよってから止まり木に帰ることにした。

帰ってみると、「ひらまさ釣れたよ」とか。 ここはやたらつりに詳しい人が多く、つりをしない人の方が珍しいくらい。 釣れた日には食卓に刺身が並ぶ。だから今日は高級魚のひらまさの刺身、それをネタににいさんがにぎってくれたお寿司 ねえさんがつくってくれた粕汁、と民宿なんかよりよっぽど豪華な食卓だった。 それにしても魚さばくの、上手だなあ・・・。

夜から土砂降りになった。このあめでは明日が心配。やはり屋久島だな・・・・。

3/4 白谷雲水峡

朝起きたら、雨があがっていた。これなら動けるぞ、と思い、白谷雲水峡へ行くことにした。雲水峡から行ける絶景の穴場「タイコ岩」の場所も一応聞いておいた。山の上の方は雲がかかっているそうなので何の景色も見えないかもよ、と言われたけれども。

屋久島は標高差がはげしいせいが、ちょっと島の中央にむかうと、くねくねと飽きるくらいのワインディングが続く。
雲水峡にたどり着き、徒歩で中にはいっていくと、昨日の雨のおかげか、苔がいきいきとした緑色で、歩いている間中、感動しっぱなし。どこからこんなに水が湧いてくるんだろう?と不思議なくらい、わき水が豊富だ。
「原生林コース」という観賞用コースを外れて辻峠、と表示のある方へ向う。かなりきつい上り坂になっていく。途中、川渡りも何度か。

辻峠からタイコ岩への道は、ところどころ木に巻いてあるピンクのテープが目印。ほんもの登山道の険しい道で、テープ見失ったら遭難しそう。縄文杉ルートとちがって、ここはほんとは一人できちゃまずかったような気がする・・・。

上に上っていくにつれて、風がどんどん激しくなり、白いモノがちらついてきた。あれ、と思うとなんと雪!登ってる間はシャツ一枚でも汗ばむほどだけど、ちょっと止まると手がかじかんでくる。休んでられないぞ、とやっとこさタイコ岩までよじ登る。
今までうっそうと木がしげっていたのが、ぱっと視界がひらけて大パノラマが広がっていた。びゅーびゅーと雪が顔に吹きかかってきて、顔が凍り付きそうだけど、見に来てよかった、と思う。

帰り道をバイクで走り出すと、風がどんどん激しくなってきた。神の川林道をちょこっと走ってから、大浦温泉で一休みしよう、と寄って見ると、フェリーで一緒だったチャリダーも来ていた。この天候のせいで、テントを張れず、コインランドリーの中で寝泊まりしていたとか。たしかにこれだけ風が強いと、海辺でテント張ってたら吹き飛ばされてしまいそうだ。にしてもコインランドリーじゃちょい恥ずかしいな。

温泉で暖まったあと、食料を仕入れてからとまり木へ帰って、晩ご飯を作る。このライダーハウスは、この季節、現地でジャガイモ堀りバイトをしつつ生活している人がかなりいて、そこから大量にもらってくるせいで、山のようなジャガイモが食べ放題。ということで魚のつれない日はジャガイモの煮物とか、みそ汁とか。気分的な問題かもしれないけど、すごく美味しく感じるんだよね。


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