8/4 東京〜苫小牧

バイクに乗って旅をしよう、というのが免許をとってからの最初の目標だった。 免許をとって最初の夏休みである。 どういうわけか、2年連続受験勉強をする羽目になってしまったため、3年ぶりの夏休みらしい夏休みを迎えた。今年こそ、ちゃんと遊ぼう、絶対北海道に行こうと心に決めていた。免許を取って一年ほど(実際ちゃんとのったのは半年か?),ツーリングといえば日帰りくらい、まだ初心者の域を抜けていないわたしが、いきなり北海道をソロでロングツーリング,しかもキャンプで大丈夫なんだろうか・・・.

いままで一度もキャンプをしたことがなかったので、ライダーハウスにとまろう、と最初は思っていたのだが、キャンプの達人、LANZAのMさんからテントのお古をいただけることになった。それなら、とりあえず行ってしまえばなんとかなる!とキャンプツーリングをしてみることにしたのだった。不安もたくさんあったけど,それよりも期待のほうが大きかった.

往復のフェリーは、私の姉貴分ライダーのRVFのMさんと一緒なので,待ち合わせて一緒に首都高を大洗に向けて出発.なにしろこれだけの荷物(サイドバック+リアのダッフルバック)を積んで走るのははじめて。荷物満載状態での首都高のすり抜けには非常に怖いものがあった.常磐道を降りてから道に迷ってしまい,先が思いやられるスタートとなるが,なんとか大洗までたどり着き,フェリーに乗船.大洗ってこんなに田舎にあったの? と思えてしまう真っ暗な道ばかりだった.

本日の走行距離138キロメートル
8/6 苫小牧〜阿寒

苫小牧の健康ランドで一泊して,いよいよそれぞれツーリングを開始.苫小牧市街を抜けるとほんとに何もない.右手の大分向こうに海が見えるが,そこまで建物一つない草原が広がっているばかりだ.ふとメーターをみるともう30キロメートルも走っている.東京だったら30キロメートル走るのにどのくらいかかることやら、とふと想った.友人の「北海道には北海道時間が流れているから、時間を気にしなくて大丈夫」という言葉は本当だった

牧場に牛がいる!馬がいる!といちいち感動しては,道ばたで記念撮影.ライダーがすれ違う度に挨拶を交わすのにも訳もなく感動する.(関東ではあまりしないかも)でも記念すべき一人目のライダーには挨拶するタイミングを逃してしまった.

この日は建築の学生らしく,この建築は北海道に来たらみておこう,と思っていたトマムの「水の教会」を見学することにした.ところがこの建物、リゾートホテル内にあるので、バイクに乗るようなこきたない格好をして入っていくのはちょっと恥ずかしかった。ツーリングと建築巡りは同居できないな・・・。

トマムをすぎてから大分空模様が怪しくなり,まもなく豪雨となった.かっぱを着てもまったく意味が無く,ジーンズのなかまでびしょびしょになった.せっかくキャンプするぞ!と意気込んでいたのに、ここまで濡れてはキャンプする気力もくじけてしまい,ちょっとひよって阿寒湖畔のライダーハウスに泊まることにした.

あとで聞くところによると、私が予定していたオンネトー国設キャンプ場はクマ出没のため閉鎖されていたらしい.(たしかかは分からないけど)ライダーハウスのオーナーも一緒にとまった人たちも気さくな人たちで、一日目の北海道の夜をたのしくすごすことができた。

本日の走行距離356キロメートル
8/7 阿寒〜網走〜屈斜路湖

天気予報によると釧路,根室方面はひどい天気らしい.大雨洪水警報だなんて・・・。これからどこへ向かおうか思案しつつ,ライダーハウスで一緒になったエストレアの女の子とアイヌコタンを見学し,「熊の家」という土産物やさんで店員さんと立ち話.ここはライダー大歓迎のところで,コーヒーをごちそうしてくれた.

昨日の雨で懲りたので,雨を逃れて北上することにし,裏摩周をぬけ網走刑務所を見よう,と決定.まずは裏摩周展望台へ向かった.この近くには是非みたいと思っていた神の子池があるのだが,ツーリングマップルには「ダート2キロメートル」と書いてある.ロードバイクで入っていく人もいるけど、私のうでではとてもとても・・・。入口でヒッチハイクでもするか,と思っていたところ,ちょうど神の子池を見るのを諦めてきたというニンジャの女の子と出会った。そこへ車プラスバイク2台できたグループがやってきた.これは幸い,とばかりにわたしと彼女は車に乗せていってもらってしまった.幸運にも見ることが出来た神の子池は期待通りの神秘的なものだった.このダートをオンロードで走ってくるライダーもぱらぱらといた.へっぽこの私はあきらめてしまったが。次の北海道はオフ車できたいなあ、と思ってしまった。(ほんとは腕の問題だろ・・・)

次の網走刑務所は興味深げなところだったが,暑いのとあまりに観光客が一杯なのにつかれて,さっと流して見るだけにし,美幌峠に向かって南下する.美幌峠で出会った、バンディットの女の子は話してみると、偶然にも同い年の学生で,これからほぼ私と同じ様なルートをたどることを考えているとわかり,コタン温泉に入ってから一緒にキャンプしよう!と決めた.実際、つれがいると露天風呂に入るのもこころ強い!

コタン温泉は一瞬入るのを躊躇してしまうほど周囲から丸見え.(もちろん水着は着るけれど)でも,ここからみえる湖の風景はすばらしく,夕暮れ時なのでさらにきれいだった.それに、ここで彼女のサークル仲間にも偶然でくわし,その夜は3人でバイクの話,来年待ちかまえている自分らの就職のことなどで盛り上がった.

本日の走行距離277キロメートル
8/8 屈斜路湖〜野付半島

今日は摩周湖第三展望台,釧路の和商市場,そしてイオウ山に戻ってくるというルートに決定.かなりの強行軍だろう.摩周湖は天気に恵まれたせいで信じられなくらいきれいだった.雲が湖面にうつって,一瞬雲の上にいるような錯覚におちいった.風がないので湖面がないでいるためだという.幸運だった.(霧の摩周湖でないと嫁に行けなくなるらしいが・・・)

いよいよ楽しみにしていた和商市場の勝手丼を食べに行く.市場というともう少し活気があるものかと思ったが,意外と穏やかだった.北海道ツーリングを通して唯一の贅沢となったウニやいくらの海鮮丼を食べることが出来,満足した.でも思ったより安くは無いなあ、というのが実感.

この後、イオウ山を見たあと解散と言うことにする.彼らはバイク歴も長く、上手だったので,スローペースの私が迷惑をかけなかったかとちょっと心配.でも、楽しい思い出ができたのでとても感謝している.開陽台まで女の子と走り,そこで彼女は中標津方面に向かった.その日のキャンプは開陽台にすれば良かったのだが,まだ日があるからもっと先に行ってしまえ,と思ったのが失敗だった.北海道の夜の道は本当に真っ暗で,虫の攻撃の激しさにも参ってしまった.尾袋沼のキャンプ場には8時ごろ到着.これからは明るいうちにテントを張ろうと決意した.

本日の走行距離312キロメートル
8/9 野付〜サロマ湖

翌朝,野付半島を走る.両側を青い海と湾で挟まれ,かなたには知床が青く見え,これまでのなかでも一二をあらそう気持のいい眺めだった.知床横断道路の入口で,あつーい熊ノ湯に入ったあと,気を引き締めて知床横断道路へ.とろい観光バスに邪魔されず気持ちよく走ることが出来た.(とはいえ私のことだからかなりのスローペース)ウトロ側につき,知床五湖のレストハウスで,さきほど光ごけの洞窟でもあったCB1300のライダーと再会.道東は同じ人とよく会うよ,とは聞いていたがやっぱりメジャーなところを走るとあうもんだなあ,と思う.

サロマ湖キムネアップキャンプ場まで行くのにのんびりしすぎ,ちょうど夕暮れの時間を逃してしまった.残念!でも途中の道からみえたから良しとしよう.ここでMさんと合流し,途中で買った貝を焼き,レトルトご飯をあっためて晩御飯.隣のライダーさんから「あまったので・・・.」と,エビとホタテを頂き,けっこう豪華な晩御飯になった.

本日の走行距離295キロメートル
8/10 サロマ湖〜美瑛

今日は美瑛でもう一人の知り合い、Kさんと合流する予定になっているので、サロマ湖の朝日を撮った後すぐ、美瑛に向けて出発。北海道に上陸してからかなり経つ川口さんはすっかり真っ黒でワイルドな外見になっていた。わたしもこの暑さでは、そろそろ長袖ジャケットに耐えられなくなってきていた。この年は異常気象で、連日30度をこえる暑さで、夜明けにはテントの中がむれて寝ていられなくなってしまうほどのあつさ。

この日は、観光客っぽく美瑛の丘巡りをするが、ラベンダーはすでに盛りを過ぎて茶色くなってしまっていたのが残念だった。美瑛はちょっと観光客がおおすぎってのもちょっと残念。この日のキャンプ場は日の出公園キャンプ場にしたが、なんとここで神の子池の、車プラスバイク2台の四人組と再会。(この東京理科大カントリーツーリングクラブの連中とはこの後もつきあいがつづくことになる・・・)彼らや他のキャンプ場に集った人たちと喋っているうちにいつの間にか3時過ぎになってしまった。

本日の走行距離288キロメートル
8/11 美瑛〜稚内

昨日の夜、あるライダーから「オロロンラインは絶対走っとけー、感動するぞー」と言われ、急に最北端に行きたくなってしまった。日程的にちょっと無理かなと思っていたのだが、無理をしてでも行くことにする。しかし「北の国から」の麓郷の森は絶対はずせないので、ここを見学してから引き返して稚内を目指した。

150キロメートルほどノンストップで突っ走るが、途中でこのまままっすぐ走るのもつまらない、と思い、朱鞠内湖まわりで行くことにする。その途中で立ち寄った羊の丘展望台の景色はすばらしかった。羊はいなかったが、牧歌的な光景に出会えた。そしてここのソフトクリームは、暑さにまいっていた私にとってむちゃむちゃうまかった。そういえば北海道に来て以来一日2回ペースでソフトクリームを食べている。ハマナスとかラベンダーも食べたけどなんといってもいちばんおいしいのはやっぱり北海道牛乳のバニラかなあ。

音威子府から日本海側へぬけ、いよいよお待ちかねのオロロンラインへ。右手にはサロベツ原野、左手には日本海という真っ平らな景色の中をどこまでもまっすぐ走る道・・・。この気持ちよさはバイクに乗ってこなければ分からなかっただろう。 「バイクに乗ってよかった」と感じた瞬間。

稚内に到着するとなんとCB1300のライダーと三度目の再会。彼はライダーハウスに泊まる予定だったが、夕食はキャンプ場で食べようと誘った。森林公園キャンプ場にテントを張っている連中とミニ宴会となった。森林公園キャンプ場から見える夜景は素晴らしく、どこかで花火まで上がっていていた。

本日の走行距離429キロメートル
8/12 稚内〜札幌

最北端の地,宗谷岬を見てから,一直線に海岸沿いを南下する.今日は札幌の知人に会おうと思っているので,急がねばならない.この日のオロロンラインはひどい強風で,しっかりしがみついていないと風で流されてしまう.

札幌までの道のりは本当に遠かった.連日の睡眠不足で疲れもピークだったのだろう.どんなに遅く寝ても,テントの中は6時にはねていられないくらい暑くなってしまうからだ.この日もキャンプ場を探そうと思っていたが,札幌は混んでいて道も良く分からず真っ暗になってしまったので,知り合いのうちにお世話になることにした.都会を走るがこんなにしんどいとは・・・

本日の走行距離438キロメートル
8/13 札幌〜苫小牧

久々に屋根のあるところで寝たせいか,ぐっすり眠ってしまい,起きたのは10時過ぎ.あわてて支度をすると,モエレ沼公園に向かった.(この日も建築の学生らしく。)ここは彫刻家イサムノグチが計画したところで,池や丘や楽しげな遊具が配置されており子供達で賑わっていた.

そのあと知り合いの勤める札幌高専と芸術の森を見学させてもらいに向かうが,札幌高専についたところで走りゴケ.これだけ荷物満載では絶対起こせないと思っていたが,火事場のくそ力とでも言うのか?あっさりおこせてしまった.こけたせいで膝も痛い.知り合いに大丈夫?と気をつかってもらいつつ、もうこの日はあまり走らず,苫小牧に早めに行くことにした.あー、最後にばかなことをやってしまった。 私が苫小牧に着いたときにはMさんも既についており,二人して「もーおわっちゃうのかー,帰りたくないー」と連発していた.

本日の走行距離112キロメートル
8/14 苫小牧〜東京

もうこの日は帰るのみ.北海道は名残惜しいが,夜の首都高からの夜景をみて,あー東京って美しい・・,と思ってしまうあたり,やはり私は東京人かなとも思う.

本日の走行距離162キロメートル
DATA
  • 総走行距離 2807キロメートル
  • 総費用 56619円
    • 高速4200円
    • ガソリン9018円
    • 宿泊2590円
    • 風呂1780円
    • 食費その他19031
    • フェリー20000円
  • 平均燃費訳30キロメートル/P

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